信濃屋の新業態。
あらたな挑戦に必要な音
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーに新たに誕生した、信濃屋食品のコンセプトショップ「cask」。老舗スーパー信濃屋の新業態として、ロゴやインテリアを一新し、2023年10月に開業しました。「食文化を通じて地域に貢献する」──そんな信濃屋の理念を体現する場として、春華堂「SWEETS BANK」でも協業したクリエイティブチームが再び集結。そのご縁から、SOUND COUTUREはサウンドデザインを担当することとなりました。






生産者に想いを馳せる。
“マルシェ”のような買い物体験の創出
「室内にいながらファーマーズマーケットのような空気を感じてほしい」「日中はお弁当販売、夕方にはワインの試飲会を開くなど、お客様との関係性を構築しながら、”食への興味”を促す場にしたい」。そんな空間を目指す信濃屋へ、SOUND COUTUREが提案したのは「生産者に想いを馳せるサウンドデザイン」です。多くの取り扱い商品が自然豊かな産地から届くことを踏まえ、環境音や実際の調理音、活気ある市場の喧騒を織り交ぜることで、音によって“場所の記憶”を呼び起こすような体験を設計しました。買い物という行為が単なる消費でなく、背景にある物語とつながる時間へと変わっていきます。





木桶の響きを、音にとどめる
ブランド名にも象徴されるように、「cask」では木桶仕込みの商品が多く展開されており、店内に数多く並びます。SOUND COUTUREはその象徴性に着目し、すべての音に木桶の響きをエッセンスとして挿入。昼のランチタイムの賑わいや夕方のワイン試飲会など、時間帯やシーンごとに異なる人の流れや空間のムードにフィットするサウンドをめざしました。
さらに、役目を終えた本物の木桶を活用した“木桶スピーカー”をワインセラーに導入。コルクを抜く音、ワインを注ぐ音、ボトルが触れ合う音、乾杯の音──ワインにまつわる音が空間を柔らかく彩ります。セラーは隣接するレストラン「W」とも接続しており、互いのBGMが交錯してもノイズにならないよう、音同士の重なりまで丁寧に設計しています。





音もまた、
季節とともに変化する
開業以降、「cask」は従来信濃屋がターゲットとしてきた食やお酒にこだわりを持つ高級志向のお客様に加え、美容感度の高い20-30代の女性、ビジネスパーソンや観光客など、新たな層の支持を得る場へと進化しました。食に対する意識が高く、健康意識も高いお客様にとどまらず、観光で訪れたお客様が食への興味や理解を深め、感性を触発される場所として、コンセプトショップの役割を着実に果たしています。現在はSOUND COUTUREが提案した「季節のうつろいに呼応する音の更新」として、新たなサウンドの開発も計画中。訪れるたびに、音が変わる。買い物が”発見”に変わる。「cask」だから提供できる豊かな買い物体験を、これからもサウンドの力で最大化していきます。
